診療科・各部門紹介
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放射線治療科

那覇市立病院放射線治療科には放射線治療装置が2台あります。1台は米国Varian社製の21EXという汎用機で平成19年3月より稼働しています。もう1台は米国Varian社製のHalcyon(ハルシオン)というIMRT専用機で令和4年4月より稼働開始しています。2台体制となったことにより、一部の定位放射線治療を除いたほぼすべての外部放射線治療が可能となっています。この2台の放射線治療装置の詳細に関しては放射線部のページをご覧ください。
ここ数年は年間200~300件の放射線治療を行っています。内訳としては乳がんの術後放射線治療がとても多く、全体の約40~50%を占めています。乳がんの放射線治療件数は沖縄県内で最も多くなっています。緩和ケアの症例も多く、年間80~100件(このうち1/2~2/3の症例は疼痛を有する骨転移の症例です)の放射線治療を行っています。

ハルシオンでは放射線をたくさん当てたい部分(がん)にはたくさんの放射線をあてて、同時に放射線をあまりたくさん当てたくない部分(正常臓器など)へは当たる放射線の量を減らすことができます。これによって、従来の放射線治療と比較して、がんをなおす(根治)確率を上げつつ、副作用や後遺症を減らすこと(さすがにゼロにはなりません)が可能になります。またいわゆるピンポイント照射(体幹部定位放射線治療)も全身のさまざまながんや転移巣に対して行うことが可能となりました。

(図:左は従来の治療装置での線量分布。右はハルシオンでの線量分布。赤い部分が高線量が照射される部分。ハルシオンでは中央の腸管には高線量が照射されないことに注目。)

がんが骨に転移すると非常に痛くなり、生活に支障をきたします。医療用麻薬等で鎮痛を行いますが、放射線治療もそのような疼痛の緩和に非常に有効です。この疼痛緩和を目的とした放射線治療は従来10回(約2週間)の治療期間が必要で、離島や遠方の患者さんにとっては渡航費用のほかに宿泊費までかかってしまうので、放射線治療は行わないというかたもいらっしゃったようです。近年は1回の治療で同等の効果が得られ、副作用も従来とあまり変わらない方法があり、これであれば日帰りでの放射線治療が可能となります。那覇市立病院は那覇空港とモノレールで直結しているので、こういった日帰り放射線治療もぜひ活用していただければと考えています。

また、これとは異なる“内用療法(核医学治療・RI治療)”も行っています。現在は去勢抵抗性前立腺がんの骨転移に対する治療(ゾーフィゴ)を外来で行っています。内用療法は今後、様々な疾患に対して新薬が出てきます。可能な限り那覇市立病院でも提供できるように整備していきます。なお、当院にはRI治療病室はないため、外来で行うことのできる治療のみ可能となっています。
2台の放射線治療装置と内用療法を最大限に活用して、南部地区のがん診療連携拠点病院としてより良い治療の提供を目指していきます。

対象疾患

  • がん全般及び一部の良性疾患

診療実績

スタッフ紹介

医長 椎名 秀樹 専門領域:放射線治療
専門領域 放射線治療
卒業大学/卒業年 琉球大学/2009年
職歴 琉球大学医学部附属病院
大阪大学医学部附属病院
沖縄県立南部医療センター・子ども医療センター
認定・資格等 日本放射線学会 放射線科治療専門医

放射線治療装置について詳しく知りたい方は、放射線科ページをご覧ください。