歯科口腔外科

埋伏歯抜歯にあたっては、必要に応じてCT撮影を行い3次元的な位置関係を把握し、上顎洞や鼻腔、ならびに下顎管との位置関係を評価した上で適応や術式を選択します。

抗血栓療法中の患者の抜歯高齢化社会となり、加齢性変化や生活習慣病などを背景とした慢性疾患が増加し、わが国での脳梗塞や心臓の疾患などで抗血栓療法をうけている人は約300－350万人と推定されています。抗血栓薬を中断しても出血リスクが大きく変わらないこと、内服薬の中止や減量などで患者の梗塞性合併症のリスクが高まることから、「抗血栓療法を継続したままで口腔内の外科処置を行う」こととし、止血用保護床などをあらかじめ準備して処置に望みます。

手術、化学療法、放射線療法などの各種がん治療の副作用・合併症の予防や軽減を目的とし、がん治療の完遂するための支持療法として、口腔内の衛生、機能を管理する重要性が定着しつつあり、周術期口腔機能管理として全国的に認知されております。
当科においては手術前や治療前にご紹介いただいた患者は個々の治療内容とご希望を確認の上で術前・術後や治療中の口腔衛生管理や口腔機能管理を行う多職種の共同チームを構成し、口腔内のspecialistとして入院中や外来通院中の患者様の口腔内の様々な問題に対処するように心がけています。また、口腔内の管理が患者の日常生活として定着するよう、かかりつけ歯科医療施設との連携を密にした患者教育を推進して参ります。

当初は、Bisphosphonate製剤（BP製剤）の使用患者に特有な病態として報告されていましたが、最近はBP製剤以外の骨吸収抑制剤や血管新生阻害剤の使用でも同様の病態が見られることから、薬剤関連顎骨壊死Medication Related OsteoNecrosis of the Jaw（MRONJ）と表記されております。これらの薬剤の使用前に口腔内環境を整えること、さらには薬剤使用中の注意深い対応によって顎骨壊死の発症リスクを抑えることが重要になります。ひとたび顎骨壊死を起こし、加えて疼痛や排膿、周囲軟組織の炎症性症状がみられる場合には、薬物療法や時には積極的な外科療法で壊死の範囲拡大や周囲組織の炎症の波及を最小限に抑えるように対応しております。