当院について
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がん診療連携拠点病院について

がん診療連携拠点病院とは、平成19(2007)年4月施行のがん対策基本法の理念に基づき、全国どこに住んでいても「質の高いがん医療」が受けられるように、都道府県の推薦をもとに厚生労働大臣が指定した病院です。がん診療連携拠点病院は、専門的ながん医療の提供、地域におけるがん診療の連携協力体制の整備、および患者さんやご家族への相談支援や情報提供などの役割を担っています。
当院は、平成17(2005)年1月17日に南部医療圏の地域がん診療連携拠点病院に指定を受け、現在は4年間(令和5年4月~令和9年3月末)の再指定を受けています。

地域がん診療連携拠点病院の主な役割

診療体制を整えています

  1. 集学的治療の提供体制を整え、標準治療等の診療機能の充実を図っています。
  2. 専門的な知識および技能を有する診療従事者を配置しています。
  3. 専門的な医療を提供するための医療施設・医療機器等を整えています。

研修の実施体制を整えています

  1. がん医療に携わる医師を対象とした緩和ケアに関する研修を毎年定期的に実施しています。
  2. がん医療に携わる医師等を対象とした早期診断および治療、緩和ケア等に関する研修を実施しています。
  3. 地域の医療・介護従事者も参加する合同のカンファレンスを毎年定期的に開催しています。

情報の収集・提供体制を整えています

  1. がん相談支援センターを設置しています
  2. 院内がん登録を実施しています
  3. その他、臨床研究等の事業に参加・実施しています

PDCAサイクルの実施について

  • 当院ではがん診療に関する部署において「PDCAサイクル」を実施し、がん診療の質・安全性の向上に取り組んでいます
  • PDCAサイクルとは、業務プロセス管理手法のひとつで、計画(Plan)→ 実行(Do)→ 評価(Check)→ 改善(Act)という4段階の活動をくり返し行うことで継続的にプロセスを改善していく方法です。

地域がん診療拠点病院としてのとりくみ

がんの診療体制

那覇市立病院は、地域の医療機関と連携をはかりながら、幅広いがん医療を提供いたします。

放射線療法

放射線治療は、がん細胞内の遺伝子(DNA)に損傷を与え、がん細胞が増殖できないようにします。放射線治療の目標は、がん細胞を消滅させるのに十分な量の放射線を体内に照射し、一方では正常な組織に損傷を与えないようにすることです。放射線の種類はいくつかありますが、放射線治療ではそれらの放射線を安全かつ効果的に使ってがんを治癒させたり(根治的放射線療法)、がんの増殖を抑え痛みなどの症状を和らげます(緩和的放射線療法)。
よりよい放射線治療のためには、十分な知識をもつスタッフと、よく整備された治療装置が必要です。当院では高度な医療機器を備え、放射線治療専門医とともに専門資格を有する放射線技師や認定看護師を配置し、専門的な治療にとりくんでいます。
2022年4月、新たに最新型放射線治療装置(HALCYON ハルシオン)を導入しました。

受診の際は、主治医の紹介状が必要となります。
他の医療機関より治療を希望される場合は、地域医療連携室を通してご予約ください。

外来化学療法

化学療法とは、抗がん剤に代表されるような抗腫瘍効果のある薬剤を、内服あるいは注射する治療方法です。薬剤の投与方法は、がんの種類、治療の目標、薬剤の種類や副作用の程度によって異なります。多くの場合、薬剤を投与する日と休む日を計画的に組み合わせたスケジュールに沿って、くり返し治療を行います。そのため、患者さんは入院せずに日常生活を送りながら、外来通院で治療を行うことが多くなりました。当院の外来点滴センター(外来化学療法室)は、安全に、そして快適に治療を受けられるように環境を整え、専任の看護師と薬剤師を配置しています。

がん検診

専門医の検査・診察によるがんの早期発見・早期治療に努めます。

緩和ケア

緩和ケアとは、重い病を抱える患者さんやご家族一人ひとりの「からだ」や「こころ」の様々なつらさを和らげ、より豊かな人生を送ることができるように支えていくケアです。

緩和ケアはがんと診断された早期から行うことが重要とされています。告知を受けた後のつらい気持ちや、治療の副作用やがんそのものによる身体のつらさ、仕事や家庭など社会生活をと治療との両立を図るうえで生じるつらさなど、“がんとの共生”が可能な時代だからこそ、患者さんやご家族ががんの治療を受けながら、自分らしい生活を送ることができるように「からだ」や「こころ」のつらさを和らげる医療を提供します。

がんの痛みの中には、お薬や放射線治療だけでは和らげることが難しい痛みがあります。そのような痛みに対して、神経ブロック等を専門に行う医療機関へご紹介いたします。

緩和ケアチーム

入院中の患者さんの「からだ」や「こころ」のつらさを軽減するために、緩和ケアチームが活動しています。緩和ケアチームは、専門的な知識および技術を有する医師・看護師・薬剤師・ソーシャルワーカー・公認心理師・栄養士・理学療法士・作業療法士で構成され、それぞれが協力しながら専門的なケアを提供しています。また、緩和ケアチームは、心不全をはじめとするがん以外の患者さんのつらさにも対応しています。

緩和ケア外来

がん患者さんが経験しているつらい症状に対して、専門の医師が、主治医や他の専門スタッフと協力して相談に応じます。
診療日:第2・第4火曜日 午後(要予約、受診の際は紹介状が必要となります)
他の医療機関より受診を希望される場合は、地域医療連携室を通してご予約ください。

緩和的放射線療法

緩和的放射線療法は、進行したがんや他の部位に転移したがんによる、痛みや呼吸困難感、出血などの症状を和らげるために行います。骨に転移したがんは強い痛みを伴うことが多く、放射線治療を行うことにより痛みの改善が期待でき、QOL(生活の質)の向上が図れます。

受診の際は、主治医の紹介状が必要となります。
他の医療機関より治療を希望される場合は、地域医療連携室を通してご予約ください。

緩和ケア研修会

「がん対策基本法」(平成18年法律第96号)に基づく「がん対策推進基本計画」において、「すべての がん診療に携わる医師が研修等により、緩和ケアについて基本的な知識を習得する」ことが目標として揚げられています。この目標達成のため、国が「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針」(平成20年4月1日付健発第0401016号.厚生労働省健康局長通知)を定め、がん診療連携拠点病院等で統一的なプログラムに基づき、研修会を実施しています。

がんに関連する専門外来

リンパ浮腫外来

リンパ浮腫外来は、手術や放射線療法を受けた患者さんで、治療後に手や足にむくみが出た場合、医師の管理のもとにリンパドレナージ・圧迫療法・スキンケア・セルフケア指導などを行います。 診療日:第1木曜日(完全予約制、自費診療) *リンパ浮腫セラピストが担当しています。

ストーマ外来

ストーマ(人工肛門・人工膀胱)造設術を受けた患者さんに対して、継続的な支援を行うため、ストーマ外来を開設しています。
診療日:毎週水曜日(完全予約制)*皮膚排泄ケア認定看護師が担当しています。

禁煙外来

現在、新型コロナウイルス感染の影響により、外来診療を休止しております。
再開の際には、改めてご案内いたします。

* 他の医療機関より各専門外来の受診を希望される場合は、地域医療連携室を通してご予約ください。

地域連携クリティカルパス

沖縄県では、がん患者さんやご家族が安心し、質の高い医療を提供するためのツールとして、「沖縄県5大がん地域連携クリティカルパス(がん連携パス)」を作成し、、平成22年4月から運用しています。 「がん連携パス」とは、地域のかかりつけ医と専門医が、患者さんの診療経過を共有し協力して診療を行う診療計画のことです。当院では、「がん連携パス」を積極的に運用し、患者さんには「私のカルテ」(自分の身体の状態を2人の医師に知らせるためのカルテ)を活用していただいています。

セカンドオピニオン

セカンドオピニオンとは、主治医(担当医やかかりつけ医)以外の医師に対し、自分の病状や診断・治療方針などについて相談し、今後どのようにしたら良いかを、ご自身で決定するために役立てることを目的として、意見や判断を求めることをいいます。当院におけるセカンドオピニオン外来は、がんの治療(手術療法・薬物療法・放射線療法・集学的治療)に対応する専門的知識および技能を有する専門医・所属学会専門医が担当しています。また、当院で診断・治療される患者さんにもセカンドオピニオンを推奨しています。

がんに携わる専門の診療従事者

当院では、がん医療における専門スタッフを育成し、より高度で安全な医療の提供に取り組んでいます。

専門資格を有する診療従事者 令和4年6月現在

がん治療認定医10人、放射線治療専門医2人、緩和医療認定医2人、消化器がん治療認定医2人、 乳腺専門医2人、病理専門医2人、がん看護専門看護師2人、がん放射線療法看護認定看護師1人、 緩和ケア認定看護師2人、皮膚・排泄ケア認定看護師2人、放射線治療専門放射線技師1人、 医学物理士1人、細胞検査士5人、がん病態栄養専門管理栄養士2人、公認心理師2人、 がん専門相談員5人 など

がんに関する研修やイベント

医療従事者対象の研修会

がん医療に携わる医師や、その他の医療従事者を対象とした研修会を開催しています。 緩和ケア研修会、早期診断研修会、化学療法研修会、放射線療法研修会、がん相談員実務者研修会 当院より在宅等へ繋いだ患者さんに関する、地域の医療・福祉機関参加の合同カンファレンス その他、がん医療や緩和ケアなどをテーマに揚げて研修会等を開催します。

患者さんやそのご家族、一般市民に向けて

がん患者サロン(那覇がん患者ゆんたく会)

がん患者さんやご家族が、心の悩みや不安・体験・生活上の工夫などを語り合うことのできるサロンです。サロン前半は、当院の各専門領域のスタッフが講師となり、がんに関するミニレクチャーを行い、サロン後半は、参加された皆さんからの質問や、語り合いを通して交流できる時間としています。
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年2月よりしばらくの間、開催を休止しておりましたが、2022年5月より、規模を縮小して再開しました。詳細につきましては、がん相談支援センターにお問い合わせください。

患者会

患者さんやご家族の会の運営を多職種でサポートしています。

信友会(乳がん患者の会)

乳がんの患者さんおよびご家族との交流を図るとともに、医療スタッフと連携しながら、乳がんの体験や情報交換、勉強会(乳がん塾)で知識を深める活動を行っています。

悪性リンパ腫患者交流会

NPO法人悪性リンパ腫患者会 グループ・ネクサス沖縄支部と共催で、交流会を開催しています。

がんフォーラム(市民公開講座)

南部医療圏を中心とした市民や、がんに関わる医療・介護従事者等を対象に、がん診療や緩和ケアに関する講演会を年1~2回実施しています。
(新型コロナ感染症の拡大に伴い、2020年より開催を休止しておりましたが、2022年12月に開催を計画しております。ご案内はもうしばらくお待ちください。)

出前講座(おでかけゆんたく会)、地域の学校・職域などへのがん教育

がんに関する普及啓発・情報提供を目的に、市民向けの出前講座を実施しています。
当院の機能や取り組みを紹介するとともに、各診療科の医師や専門領域のスタッフが、がんの病態や標準的治療、予防と早期発見、がん治療の中での生活に関すること、療養についてなど、わかりやすく説明します。

がんの相談・情報提供(がん相談支援センター)

がん相談支援センターは患者さんやご家族あるいは地域の方々からの、がんに関する質問や相談にお応えする窓口です。国立がん研究センターがん対策情報センターによる研修を修了した相談員(がん専門相談員)を配置し、院内外の関係者と連携しながら支援を行っています。まだ診断や治療を受けていない方や、他の医療機関にかかっている方からのご相談もお受けしています。
がんのことやがんの治療についてもっと知りたいとき、不安でたまらないとき、医療費や仕事・学校について等、がんに関する様々なご心配について一緒に考え、情報を探すお手伝いをしています。 ご相談は、当院にて直接会ってお話をうかがう方法と、お電話で相談する方法があります。

  • 電話番号(がん相談支援センター直通):098-917-5238
  • 対応時間:平日9:00~17:00

詳細につきましては、がん相談支援センターにお問い合わせください。

情報を得るための信頼できるサイト

AYA世代の患者さんへの支援について

AYA(アヤ)世代とは、Adolescent&Young Adult(思春期・若年成人)世代の略称で、15歳から39歳までの世代を指します。中学生から社会人、子育て世代とライフステージが大きく変化する世代であり、AYA世代がん患者さんは就学、就職、恋愛や結婚、妊娠や出産などAYA世代特有の悩みを抱えています。
当院では、AYA世代の患者さんとご家族のサポートを行っています。

*小児がん、希少がんの対応について

当院での治療や対応が難しい場合には、専門の医療機関にご紹介いたします。

がんゲノム医療と遺伝子パネル検査について

がん細胞のゲノムを調べて、遺伝子の変化をもとに患者さん一人ひとりのがんの性質を知り、適切な治療法を選択することを、がんゲノム医療といいます。「分子標的薬」や「免疫チェックポイント阻害薬」などがあります。 がん遺伝子パネル検査は、がん細胞に起きている遺伝子の変化を調べ、がんの特徴を知るための検査です。がんの特徴が分かれば、一人ひとりに適した治療法を探すことができます。患者さんのがん組織や血液を使って、がん細胞の数十から数百の遺伝子を一度に調べ、その中で起きている遺伝子の変化を確認します。 保険診療によるがん遺伝子パネル検査は、国が指定した医療機関で受けることができ、当院では、がんゲノム医療連携病院である琉球大学病院にご紹介いたします。

がんに関する統計(院内がん登録)

院内がん登録は、病院で診断・治療したすべての患者さんのがんについての情報を、診療科を問わず、病院全体で集めて登録するものです。他の病院からの紹介で来た症例が多いのか、また、他の病院でかかっているうちにがんが発見された症例が多いかなど、病院へ来院した経路の違いや、がんの診断・初回の治療を行った病院、治療の経過や再発治療を行った病院など、がんの診断から再発治療までの間で、病院がどの部分の役割を担っているなどがわかります。

臨床試験・臨床研究など

那覇市立病院が参加・実施している臨床試験・研究に関しては、治験管理室、臨床研究のページをご覧ください。